平成二十年 皐月 吉日
有馬の里に、今を盛りにと可憐な花々が咲き乱れる、心弾むこの季節。わたしは“都忘れ”の花を、好んで生けさせてもらいます。
この花はピンと張り詰めた緊張感がある花、なのに清楚で可憐な花。昔人の都への思いを断ち切ったというこの花の中に「初心を忘れず!」の強い意志を感じます。

さて、源氏物語が歴史に登場して1000年。京都をはじめ様々な場所でイベントが開かれております。雅な皆様もきっと、ご存知のことでしょう。
日本最古の有馬温泉、数多の都人の有名無名の人問わず、すぐれた泉質を伝え聞き、湯治に訪れたという事は古文書を通し、有馬温泉について色々教えてくれています。そういった文書に出会うと、有馬に生きる誇りと、感動をいただきます。 加えて、私の想像はそこで更に拡がっていくのです。湯治と共に前向きに生きようとした、いにしえの人々に・・・。
世の中心の都から、近すぎず遠くない有馬の地で、英気を養い再起に賭けた人々のことを…
ある新聞で、「明日死ぬ覚悟をするのが悟りではなく、平然と生きる事がそうである」というような言葉に出合いました。庭で草花が、太陽の光の方向にぶしつけに厚かましく伸びていく姿を見ると、それで良いのかと気づかされました。
悩みながらも、わたくしも何とか頑張らせてもらいたいと考えております。 それでは、また近い内にお会いいたしましょう。
平成二十年 卯月 吉日
「目に青葉、山ほととぎす初がつお」の季節がおとずれます。初がつおといえば「初物を食べると75日、寿命が延びる!」と信じられているそうですが、そうなのでしょうか?

たしかに振り返ると、旬をもとめたり、粋を追いかける私達の姿は、一種の信仰みたいですよね。
私も美味しいものをいただいたり、又は召し上がっていただいたり、そして美しいと感じるものの為には、骨身を惜しみたくない人種です。関西で言う処の、かなりの阿呆なのですが…これは好きだからしょうがありません。皆様はどんなタイプでしょう?
幸運にも、譲れない好きな事をさせていただく中で、喧嘩をしたり、笑ったり、より仲良くなったりする事が私にとって“生きている”と思える瞬間のようです。
初夏の薫風が吹き始めました。いつも風通し良い心で、中の坊ご来館の皆様をおもてなしできる、“素敵な自分”でありたいものです。
それでは、皆様。またお目にかかりましょう…
平成二十年 卯月 吉日
湯の里有馬も、桜色に美しく染まりつつあります。皆様ご機嫌如何でしょう?今年は、いずこの桜をたずねられますでしょうか…

さて、まもなく姫路菓子博2008(第25回全国菓子大博覧会)が4月18日〜5月11日(24日間)開かれます。意外にも、約100年の伝統を持つ博覧会だそうで、2008年兵庫県の最も大きなイベントと言って良いでしょう。和・洋菓子職人技の披露や、お菓子文化の歴史も楽しく学べる祭典。全国を味わえるとあって、わたくしと食いしん坊の御近所は、開催を今かゝと待っています。
何より、世界遺産の姫路城を借景の桜も愛でられるこの時期は一石二鳥!全身でその美しさを体感してみようじゃありませんか。
実は最近、遥々ご遠方の方は「有馬温泉と姫路城へ観光へ行きます!」という方が増えてきているようです。それは、海の神戸、京都、そして大阪と並ぶほどです。満喫の方は全て行ってらっしゃいますが…
魅力満載の有馬温泉、楽しみに添えていただければ幸いです。いつも御愛読感謝申し上げます。また近いうち、お目にかかれますのを楽しみに致しつつ、どうぞお元気で。
平成二十年 弥生 吉日
春風が心地良い、花鳥も歌う楽しい季節を迎えました。いかがお過しでしょうか?
この時期、古くからの中の坊運転手は、まだ“中の坊瑞苑”が“中の坊”だけで
呼ばれていた30年以上前の事を、神妙に話しはじめます。

彼が有馬の住人になる以前の桜の或る夜、中の坊をふと仰ぎ見ると、木造であった建物の軒先一面に煌々と赤い提灯を掛け、沢山の芸妓さんとお客さんが賑々しく宴に興じているのが垣間見えたんだそうです。あまりの華やかさに『有馬ってなんちゅうとこや!』思い驚いたと言いますが…数年後、何故か有馬にお世話になるようになったというのですから、可笑しく不思議なものです。よっぽど素敵 な光景だったのでしょう。なんせその運転手、春毎三回はおっしゃるのですから…きっと桃源郷に近い夢のような風景にちがいありません。
今時分、もしかしたら思いもかけない夢風景に出会いやすいのかもしれません。
わたくしも、桜の下で時空を超えた錯覚を覚えたり、いやそれすら夢まぼろしだったのでしょうか…
話は尽きませんが、また近い内お会いいたしましょう。どうぞ皆様方お健やかにお過し下さいますように。ありがとうございました。
平成二十年 弥生 吉日
桃の節句も過ぎ、はやくもお彼岸でございます。
有馬は、日に日に春めいて、さまざまな春の声を聴くと、ワクワクしてきます。
さて、雛祭りの後、お雛様をすぐに片付けないと晩婚になる。
その昔、当時の娘にとっての一番の災難が婚期が遅れることだったのだそうですが…
今の娘の災難って一体なになのでしょう?

ここ数年旧暦の4/3まで、中の坊瑞苑は七段のお雛様をロビーに飾ってきました。
それは、我々スタッフの一人の御家族のご好意で飾らせていただいておりました。
大変お目出度いことに、そのスタッフが、このたび結婚する運びとなり、嫁ぎ先に持って行く事になりました。
品の良いお雛様達は持ち主の彼女そのもので、沢山のお客様方に愛でられ、時節の楽しみを与えてきました。
今期で見納めは少し淋しいですが、彼女と御家族には感謝にたえません。
辛抱強く、恐れず、尽くすことを厭わない彼女のお幸せを心から祈りたいと思います。
伝来もの、というわけではありませんでしたが、素敵なお顔をされた雛人形様達と彼女に出会えたご縁、わたしは一生忘れないでしょう。
では、皆様、またお目にかかりましょう。
平成二十年 如月 吉日
梅花の候、皆様お健やかにお過しでしょうか。
この冬の厳しい寒さを耐えてきた今、うららかな春の訪れがとりわけ待たれます。

さて、中の坊瑞苑で“梅”といえば梅(ばい)先生です。
正面玄関よりエスカレー ターでロビーへ上がると目に飛び込んできます『瑞苑』額の
お字の書道家です。
今でも御健在、時々お越しにもなりますがご自分を老梅とおっしゃる大変ユニー クな方だけあり、なにものにもとらわれない飄々とした御字は、瑞苑の空間を豊 かにしてくれています。
姉妹館・有馬グランドホテル大浴場9階のエレベータ前でも梅先生の御字に出会えます。
『梅の花は他に先んじて咲く』をこの時期私は好んで口ずさみます。
雪 の下、花開く準備をする凜とした姿に励まされるからでしょうか…
「真っ直ぐの 字より歪んだ字のが難しい」とかお聞きできたりすると、仕事冥利に尽きると有り難く思います。
今日見に行った有馬・林渓寺の樹齢200年紅梅の未開紅は、まだ少し蕾が固いようです。
それでも、ほころびかけた紅い蕾もなかなか楽しめました。
皆様それぞれに芳しい梅の便りが届きますようにお祈りいたしつつ、また是非お目にかかりましょう。
平成二十年 如月 吉日
節分・立春も過ぎ、うっすらと雪が積もる日があるものの徐々に梅の蕾も膨らみ春の訪れを予感させます。
福を招き、厄を払う儀式の多い二月、縁起を担ぐのも時には良いものです。
“神戸七福神”を皆様はご存知でしょうか?
有馬温泉・念仏寺も“寿老人”を奉ることで知られております。
他の六寺も、歴史と由緒ある所ばかりで、わたくしのお奨めスポットの一つでございます。

さて、七福神の存在を、恥ずかしながら某CMから興味を持った、わたくしですが…先日御縁あって文楽初春公演 ・七福神宝の入舩に行ってまいりました。
宝船で琵琶や腹鼓など芸を披露し合い、宴を楽しむ七福神のお姿は、益々面白いと思うようになりました。
それは旅館の一面を表すように思いました。
映画 “千と千尋の神隠し” のように、旅館の中で色々な方々が何かを払い、癒す為の時間を過ごされることは、生きるための根本の芯を吹き出させているように見えてまいります。
有馬の特徴の赤い色のお湯には不思議な力があるからこそ、長年多くの方々に愛されてきたのでしょう。それに赤いお湯には、これからの季節の新芽の浅緑がとても良く似合います。
自然がいっぱいの有馬温泉、この季節にぜひ足をお運びくださいませ。
お目にかかれますのを楽しみに、中の坊瑞苑でお待ち申し上げます。
それでは、どうぞお元気でお過ごしになりますように。
平成二十年 睦月 十七日
阪神淡路大震災より十三年目の朝を迎えました。
神戸に住んでいる者にとって、この日は特別な日でございます。
いつも通りの平穏な日々。
その有り難さを、大切にしたいと改めて思います。
変わらないもの、忘れてはあかんもの、 そして大切なものは何か。
静かに見つめながら神戸市・有馬温泉にて、山あり谷あり、これからも若女将修業続けていく所存でございます。

皆様、いつも応援していただき心よりお礼申し上げます。
よろしければ、ホームページの御意見front@zuien.co.jpまで、『若女将』宛までお送り下さい。
是非、お待ちいたしております。
それでは近いうち、またお目にかかりましょう。
時節柄、どうぞ御身ご自愛なさいますように…
平成二十年戊子 睦月 吉日
皆様あらためまして、新年あけましておめでとうございます。
本年も中の坊瑞苑をお引き立て賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
明治元年(1868年)創業の当館は、140周年を迎えます。このひとつの節目を大切にしたいと私どもは考えております。どうぞご期待下さいませ。
まずはご挨拶まで。また近いうちお目にかかりましょう。



